"TVより君が好きさ"
…と彼氏に言われて泣き出す女の子の話。
「バージン」(白夜書房'85)所収。
ここでのテレビは、居間に置いてあるテレビ、夕食後の家族が座って見るテレビですね。
家じゃあ大人はテレビの方ばっかり見ていて自分の方をみてくれない、みんな私より自分よりテレビの方が好きなんだ、と密かに傷付いていた女の子。
彼女が初めて彼の家に行く。
二人っきりで間が持たない彼は、つい居間のテレビをつけてしまう。ショックを受けて彼の家を飛び出す彼女。
居間のテレビが象徴するのはなんとも微妙な日本的な家族の空間だ。そこには居心地の悪い居心地のよさというか。平和のために何かを無視し、押し殺すような空気がある。
個を穏やかに抑圧するテレビ=家から出て、彼の家に来てみれば、そこにもテレビ=家があった…という訳で。
彼女は逃げ出さずにはいられない。そんな彼女を引き止める為に、彼はタイトルの台詞を口にする。
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